ゲームレビュー
◆◆◆ DISSIDIA duodecim FINAL FANTASY ◆◆◆
プレイ状況:000:デスペラードカオス撃破
シナリオ
◆ 012:12回目の戦い ◆
今回のメインの話には違いないんだけど、如何せん話が短すぎる感がある。ワールドマップでの移動で時間稼ぎを強いられていると感じてしまう程度に。
また、今回から登場のキャラクター達が前面に出すぎた為、前作からの既存キャラが活躍する機会が殆どなく、そこも話の短さを助長している様に見える。
そもそも、ゴルベーザの話から13回目の戦いに備える発想まで行き着かないような気がするんだけど、どうなんだろう?
カインにはもう少し、葛藤と、事実の追求、証明をして欲しかったかなって気がしないでもない。
◆ 013:最後の戦い ◆
無印の「Density Odyssey」「Shade Impulse」にあたる。無印とムービーに変化は殆どないものの、テキストイベントがかなり「012」を意識した作りになっている。
ワールドマップとパーティー編成が追加された為、終章:輪廻の終わりのカオス側の配置が見直され、専用イベントを見やすくなっているのは良かった。
シナリオが残念なのは今に始まった事ではないけどね。
◆ 000:知られざる物語 ◆
無印の「DISTANT GLORY」と「INWARD CHAOS」にあたる。ラスボスはちょっと違うけど。
基本的に好きなところに行って好きなように行動できるが…目玉になるイベントがひずみの中限定というのがちょっと寂しい。
一部のキャラはワールドマップで会話できるが、どうせならパーティーにいない全キャラと会話したかった。
◆ レポート ◆
当初は文面とイベントが繋がってるのかと思ったけど、あくまで単語のみの連結らしい。主にカオス側の小話や、コスモス側のサブストーリーに焦点が当たっている。
こういう番外編があるのは、世界観やキャラクターに深みが持てて好印象を受ける。
また、無印に比べてレポートの出現条件が優しくなったので、連続してイベントを楽しみやすくはなっている。
キャラクター
◆ FF1:ウォーリア・オブ・ライト ◆
他のキャラと違って唯一、この世界以前の記憶が抜けていたが、今回でその辺りの話が持ち上がってきた人。
ミュージアム上でその正体の説明がされたものの、そこはイベントで説明が欲しかった所。あのイベントでの扱いだと、記憶がない以外はギルガメッシュと立場が同じになってしまうし。
全ての空中ブレイブ攻撃から派生HP攻撃があるので、ブレイブ量さえあれば安定してHPダメージが期待できる人。HP攻撃も十分性能は高い。
◆ FF2:皇帝 ◆
無印では、悪巧みよりもパっとしない活躍に不憫さすら覚えたが、今回は分かりやすく悪巧みをして、時には反旗を翻しそうなカオス勢の面子を牽制するなど、かなりの活躍をしてくれた方。
「013」でも、最後から3番目のボスとして立ちはだかり、悪役感もばっちり出てた。エンカウントボイスは無印に比べて威厳と冷酷さを備えたものになった。
が、某イベントの際にティナを狙ってたらしい台詞が出ていて、ああやはりと。まぁ皇帝なら、術を解かれるようなちゃちい術は使わないだろうけどね。何故か「誘惑」使えるし。
◆ FF6:ティナ ◆
ティナの3rdフォームは、ケフカの趣味なのかな?とちょっと考えてしまった。いやまぁ可愛いからいいんだけどさ。
無印に比べて、フラッド2発目とメテオの追尾性能が落ちた為、弱体化した印象アリ。それでもメルトンの性能を見る限り敵に回したくないキャラの一人ではある。
◆ FF6:ケフカ ◆
「012」とレポートで黒幕ポジションを陣取った人。もうラスボスもケフカでいいんじゃね?って思ったり。声優千葉繁氏の名アレンジもかなり活きていたなぁ。
はかいのつばさの攻撃判定が前面に伸びた為よりヒットしやすくなり、ばらばらブリザガが当たりやすくなった為、あまり近づきたくないキャラではある。
◆ FF9:クジャ ◆
「012」とレポートで、カオスサイドなのにコスモスサイドにかなり貢献した人。行動自体は至極気まぐれな所があるけれど、根はいい子だった模様。
それ故に、「013」で性格を捻じ曲げられてしまったのが不憫というか…どちらにしても、無印に比べて出番も増えた上、キャラクターに深みが出たかな、と。
◆ FF10:ティーダ ◆
サントラの裏表紙にカオス勢として堂々と最前面に陣取るティーダの超違和感が凄まじすぎる。
性根は悪い子じゃないのに、記憶が曖昧なおかげで良くない感情を刷り込まれるあたり、カオスもそれを見越して召喚してると思うとすげえなぁと。皇帝らの行動も予見してるのかも。
しかし、カオスに召喚されるには全身鎧か露出が上がらないとダメなんだろうか。極端すぎる。
◆ FF11:プリッシュ ◆
折角参戦したのに「012」「013」で登場せず、ウォーリア・オブ・ライトの名づけ親ポジションなのに、コスモス以外その名前を誰も発してくれないという、ストーリーサイドであまり恵まれない子。
ムービーにする必要はイマイチ感じなかったけど、命名時のシーンの彼女はかなり可愛かったです。
ブレイブ攻撃でひたすらコンボが組めるので叩き甲斐はあるけど、微妙に火力不足というか…がっつりHPダメージを与えられるには工夫が要りそう。
◆ FF12:ヴァン ◆
「012」においてティナのキーパーソン。恋愛フラグ立つのかと思ってたけど、結局ならなかった。残念。
せっかく「012」で良イメージを作ったのに、レポートで空気の読めなさが顕著に出ちゃったというか。
スイッチ技を使いこなせてないので分からないけど、水のイラプション・炎のインフェルノは比較的ヒットしやすい。
システム
◆ 戦闘:難易度 ◆
一部のシナリオでパーティ編成ができる為、レベル上げがしやすい環境になっている。無印ではラスボスも1人で3連戦だったのに対して、今回は5人で挑める為、「013」の攻略は楽になった。
もっとも、「000」の驚異的な敵の強さを見越した形なんだろうけど。敵のレベルが100越えにもなると、何度か挑戦してやっと勝利、なんて事も結構ザラだったりする。
HPの上限が5桁になったもの大きい。デスペラードカオスなんて6桁だし。難易度が上がった分、クリアした時の達成感も上がっているのは言うまでもない。
◆ ワールドマップ ◆
無印にも別段不満はなかったけど、ワールドマップの導入で世界の広がりを感じられたのは良かった。
またキャラクター同士の会話なども、深みが感じられて良かった。フリオニールとティーダの会話のやりとりや、ティーダがユウナのイミテーションに想いをはせる会話とか、何気にお気に入り。
◆ オリジナルクエスト ◆
FFに思い入れがある人が多いから需要があるシステム。なくても、それなりに楽しめるかもしれないもの。
自分で作って自分だけ楽しむのもいいかもしれないけど、ネット環境を立ち上げてクエストを配信したり、配信されたクエストをダウンロードすると更に楽しいかもしれない。
また、オフィシャルのクエストもあるので、本編で語られていない部分を補う形が取られている箇所もある。
◆ ダウンロードコンテンツ ◆
4thフォームやBGMが順次追加配信されているので、思い入れのあるフォームや曲をダウンロードする楽しみはある。
しかし、お値段が若干お高めな気はする。全部購入したら、ゲームソフト1本買えるんじゃないかね?
グラフィック&ムービー
◆ ムービー盛り沢山、だけど ◆
無印版のムービーはビットレートを小さくしている為、全体的にぼやけた感じ。それでも、最後のムービーは劣化してなかったから良かったかな、と。
新規に追加したムービーは概ね画質が良かった。「12度目の浄化」とか良かったし。また、前作はテキスト表記だった箇所が、ちゃんとキャラクターが動いてボイス付だったのは驚いた。
ただ、オープニングの「調和と混沌の軍勢」はいかがなものかと。無印版と新規ムービーがまぜこぜに入っている為、コスモス勢のティーダがジタンを援護しているムービーの直後、カオス勢のティーダがジェクトとガチンコ勝負しているという珍現象が起こっていたりする。一応援護は足の部分のみ映っているだけだが、元のムービーを知っていると違和感を感じざるをえない。「012」」は「012」でムービーを新規に作って欲しかった。
あと、ギルガメッシュとバッツの対峙シーンはムービーを起こす必要があったか、謎。まぁ、オープニングには出て来れなかったし、見せ場は必要だったかもしれないけど。
音楽
◆ 追加曲が大幅に増加 ◆
ダウンロードコンテンツで結構な量の曲がダウンロードできるので、PSP持ちながら音楽プレイヤーになるんじゃないかという位、FFの曲が堪能できる。
ただ、FF2の「王女の誘惑(原曲が白鳥の湖)」の配信は如何なものかと。まぁ、著作権上は問題ないんだけどさ。せめてDL料を無料に出来なかったのだろうかと、ちょっと思ってしまう。
総評
◆ 前作をやっていなければ佳作に感じる部類 ◆
無印orUTからの引継ぎ部分の中途半端さ、新規ストーリーの短さ、キャラ性能の調整を見る限り、無印orUTをやりこんでいればやりこんでいる程、今作に不満を感じてしまう傾向は高いかもしれない。
単品で見た場合、「000」の戦闘は難易度が極悪ではあるものの、ムービーは美麗、音楽は多く、オリジナルクエストという遊び心もあり、キャラクターの個性も活きていて良かったと思う。
故に、無印を出さずに初めからこれを出しておけば、無印との見比べをされずに済んだのに、って感じてしまう。