ゲームレビュー
◆◆◆ ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島 ◆◆◆
プレイ状況:ストーリークリア
シナリオ
◆ DQ2の後日談にあたる話 ◆
ストーリー自体は、DQ2の後日談の扱いになっている。
つまり「DQ1の主人公が竜王を倒し、ローラ姫と一緒に新天地で3つの国を建国。
その内の1つムーンブルグを滅亡に追いやったハーゴン教団と破壊神シドーを打ち倒した」後のお話。
DQ2は遊んでいた方が内容に入ってきやすいが、一応NPCがざっくりと顛末は教えてくれる。

この為「DQ1の主人公が竜王を倒せなかった」後の話であるビルダーズ1とは繋がっていない。
ただ、主人公の素性が「ロトの装備品を装備できて、出身地がメルキド、メルキドを復興させたビルダーの子孫」との事で、ビルダーズ1の主人公との繋がりも感じさせている。

…DQ1のロトの勇者が無事竜王を倒した結果、前作主人公(の大本にあたる、ロトの傍系で物作りが得意な人物)が歳若くして死ぬ事無く、精霊ルビスの加護がなくてもメルキド復興にこぎつけれて今に至る…とかの流れだったらいいなあ。と妄想。
◆ 島開拓とハーゴン教団、少年シドーを巡るお話 ◆
ハーゴン教団に連れ去られ、なんだかんだで船が難破して大破。
漂着先のからっぽ島を開拓する事になり、からっぽ島の周囲に点在する島の住民に協力を仰ぐため、出発する事になる。
周囲の島々では、ハーゴン教団に絡んだ問題が住民を悩ませており、彼らの問題を解決して行くのも目的になっていく。
また、少年シドーの生い立ちと変化の理由が終盤で明かされ、解決のため主人公が動いていく。
◆ シナリオに関わる前のNPCに会話すると… ◆
ストーリーに沿って目的地に移動する分には問題はないものの、シナリオに関わる前に歩き回ってNPCと会話をすると、「いまは 話しかけれない ようだ…。」と表示される個所がそこそこ多い。
シナリオのフラグが立つ前のセリフが設定されていない…という事らしく、ちょっと寂しい。
逆にシナリオ上、次の島へ行くべきところを無視してそざい島へ行ったり、島で建築に時間をかけていると、次の島へ行こうとした際に、本来見送りに来るキャラが画面上に現れずセリフだけが流れる、なんて事も。
キャラクター
◆ 主人公 ◆
前作に引き続き、結構容姿をけちょんけちょんに言われることの多い子。名前・性別・肌・髪・目の色など変更可。
また一度作った装備品であれば、ドレッサーで見た目装備の変更も可能。
ネーミングセンスは前作主人公に匹敵し、魔物たちからも酷評されている。
自発的に会話はしないものの、人を介して発せられる自己主張はなかなか強い。

攻撃面では少年シドーより劣るものの、最強装備を装備できるようになれば申し分のない火力には落ち着くようになっている。ハンマー使用でないとダメージが通りにくい敵もそこそこいる。

◆ 少年シドー ◆
島漂着直後から仲間になる、DQ2の破壊神と同じ名前を持つ少年。
当初は死体見て面白がったり、強気なルルに物騒な発言をしたりするが、人との交流を続けていくうちに人らしい感情を持つようになっていく。
謎の声に悩まされ、周囲の思惑によって主人公と距離を置く事になってしまい、誘拐されて洗脳されかけと、主人公以上に主役級の扱いになっている。こういうとアレだが、ある意味ヒロイン枠。

戦闘面で頼りになり、火力は主人公以上。シナリオの進行で火力が上がっていく。
ただ、戦い直前にポーズを取ってから戦闘するので、主人公の火力によっては戦う前に戦闘が終わってしまう事も。
また、そざい島などで主人公が素材の回収をしていると同じ素材を回収してくれる事がある。
◆ ルル ◆
主人公と同じ船に乗ってからっぽ島へ漂着した生き残りの少女。
独特な料理センスを持っており、見た目も相まってビルダーズ1の少女ピリンを彷彿とさせる。

戦闘には参加しないものの、かたき討ちの為にハーゴン教団の船に乗り込んだり、からっぽ島の調査を買って出たり、少年シドー相手でも物怖じする事無く、ハーゴンに対しては啖呵を切るなど、肝の座りっぷりは本編随一かもしれない。
一方で、何日もからっぽ島へ戻ってこれなかった主人公とシドーを、船着き場でずっと待ち続けていたりと、意外といじらしい面も。

ちなみに島漂着直後、少年シドーに話しかける前に海岸で倒れているルルに話しかけると「へんじがない。ただの しかばね のようだ…。」と死体扱いされる彼女を見る事ができる。
仮死状態だったのか、意外と危ない状態だったのかもしれない。
◆ しろじい ◆
からっぽ島に住み着いている、白いおおきづちっぽいなにか。
見た目はおおきづちなのに考え方は人間に近く、会話の端々からオープンスケベな性格が読み取れる。
自称「島の神様的な妖精的なアレ」との事で、からっぽ島の地形を熟知しており、開拓の折にちょいちょいアドバイスをしてくれる。
出会った直後は記憶が欠落している部分もあり、断片的にしか情報を教えてくれないが、島が物作りの力で満たされてくると色々思い出し、その正体についても分かってくる。
…が、あんまり過去については語ってくれないので、結局人から聞くか、各地に点在する本などで人柄を探るしかなかったりする。

システム的には、開拓レシピの達成に応じてビルダー道具などを貰えたり、ちいさなメダルとの交換でアイテムを貰う事ができる。
◆ ハーゴン ◆
破壊を謳っているのとは裏腹に、もしかしたら主人公以上にビルダーをやってたんじゃないか、という人。
そこの所の矛盾は、少年シドーからも突っ込まれていたりする。
◆ 破壊神シドー ◆
DQ2では大した会話もなく戦闘に入る為その人(神?)となりはうかがい知れなかったが、今作ではちゃんと会話をしてくれる破壊神。
ただ暴れているのではなく、彼(?)なりに破壊の理念を持った上で破壊して回っている事を聞く事ができる。
システム
◆ ビルダーハートとレシピ ◆
主人公やNPCの行動により、NPCから出てくるハート状の物体。物作りのカケラ、とも呼ばれている。
主人公がNPCから依頼された物を作る、あるいはNPCが部屋で起床、食事をする、食べ物を作る、農作業を行う…など、職業に合わせた行動を取った際にNPCが出してくれる。
NPCが好みの部屋で起床した場合はより多くのビルダーハートが出る。

周辺の島では、このハートを一定数貯めて拠点にある「ビルダーの鐘」を鳴らす事で拠点のビルドレベルを上げる事ができる。
ビルドレベルが上がると、「追加でNPCが拠点に来てくれる」「大量にレシピを閃く」「NPCの行動が変化する」など色々な変化がある。
シナリオ進行上必要なものなので、ビルダーハートを多く集められるよう環境を拠点に作っていく事になる。

からっぽ島にはビルドレベルは存在しないが、以下の形でビルダーハートが必要になってくる。
・各島やそざい島への航路を開拓する
・「からっぽ島作業台」で作れる、ロックのかかったアイテムのレシピを解放
また、ストーリークリア後には、既に入手しているアイテムの一部と交換可能になった。
全部ではないものの、複数個入手ができないアイテムなどはこの方法で入手できる。
◆ からっぽ島の開拓 ◆
メインの舞台になるからっぽ島は、4つのエリアに分かれていて、シナリオの進行で開放されて開拓が可能になっている。
うち、3つのエリアはそれぞれ住人を住まわす事が出来る。
基本エリアを超えての活動はできず、住人を他のエリアの住人にしたい場合は「住人めいぼ」を使って移動させる事になる。

このエリアの境界線がかなり細かく設定されているものの、識別できるようになっていないので、整地して家を建てたらエリア外で住人が使用できない、なんて事もままある。
エリアいっぱいに建築をして住民に利用してほしいのであれば、エリア解放前に境界線を把握しておくと良いかもしれない。

開始直後に入手できるハンマーでは島の殆どのブロックを崩せないので、本格的な建築はビルダーハンマーが入手可能なストーリークリア後になる。
◆ からっぽ島の開拓レシピ ◆
からっぽ島を発展させるためにプレイヤーに課される課題の事。
ストーリー上必ずこなさなければならない「必須レシピ」と、任意ではあるが規定数の開拓レシピをクリアすると色々なアイテムが手に入る「こだわりレシピ」がある。
開拓レシピは一度達成すればよいので、例えば「高いところに部屋を作る」は、部屋を作って達成後に解体しても問題ない。
発売当初は達成条件が厳しいものだったが、バージョンアップにより条件が緩和されている。

開拓レシピの達成数に応じて、ビルダー道具の「リフォームコテ」・「ビルダーペンシル」・「カッター」、スペシャル道具の「ビルダーアイ」がもらえるようになる。
全達成で貰える、離れた位置のブロックの配置・破壊なども可能になる「ビルダーアイ」は、建築を円滑にこなすために出来るだけ早く達成しておきたいところ。
◆ そざい島 ◆
からっぽ島周辺に点在する小島。航路を開く際にビルダーハートを消費する。
素材収集、一部素材の無限化、ビルダー100景・NPCのスカウト、モンスターのスカウトが可能。

素材収集
島にある素材を収集できる。
そざい島は入りなおす度にマップが変化、素材も収集しなおせる為、何度でも出入りしてアイテム回収が可能。
その性質の為、そざい島で置きっぱなしにしたものは出入りすると消えてしまうので要注意。

一部素材の無限化
画面右側にあるチェックリストに載っているアイテムを全てチェックすると、特定の素材が作業台で無限に使用できるようになる。
あくまで素材として無限に使用できるという事なので、建材として設置する分は無限化の対象にはならない。
どれも使用頻度が高い素材ばかりだが、無限化した事で手持ちの素材が減らなくなってしまうので、必要に応じて素材を処分する必要は出てくる。

ビルダー100景・NPCのスカウト
「ビルダー100景コンテスト」で選出された100種類のビルダースポット。
ビルダー100景内のアイテムは回収ができず、ハンマーで叩くと消えてしまう。
「ビルダーペンシル」でスキャンする事は可能になっているので、気に入ったものがあればスキャンして参考にするのも良い。
そざい島を入りなおす度に新しいビルダー100景が鑑賞可能。その島に登録してある全ての100景を見たあとはランダムで選ばれる様子。
スカウトできるNPCがここにいて、話しかければ仲間になってくれる。

モンスターのスカウト
かんごく島クリア後、そざい島でモンスターを倒した際にモンスターが居残った場合、「まもののエサ」を与えて仲間にする事ができる。
空を飛べる者、物作りを手伝ってくれる者、周辺の地形を変化させる者など、個性が豊か。

◆ NPC ◆
主に、「ストーリー上、からっぽ島に来てくれるNPC」「ストーリー上、からっぽ島に来てくれないNPC」「そざい島でスカウトできるNPC」「そざい島にいるモンスター」がいる。
それぞれ職業が設定されており、農民なら農作業を行ってくれたり、バーテンダーなら飲み物を提供したりと、拠点内で職業の特性に合わせた行動を取ってくれる。
全員ではないが戦闘に参加可能なNPCもおり、武器を作って彼らに装備させる事ができるので、島の探索や、拠点防衛の戦闘でも、NPCの世話になる機会は多い。
また、設計図で設計すれば合間を縫って建築を手伝ってもくれるので、大規模建築の為に駆り出す事も可能。
◆ かいたく島 ◆
ストーリークリア後に行ける島。前作の「知られざる島(フリービルドモード)」に近い。
自由に建物を作っても良いし、そざい島のようにアイテム収集の為に作っても良い。
一応、追加シナリオにより島が1つは必要になってくるので、追加シナリオを始める前に3つの島全部を作る事がないように(シナリオが終われば島は消しても問題ない)。
 ・作れる島は3つまで。作った島を削除する事ができる
 ・島の名前、広さ、タイプ(そざい島の種類)が指定できる
 ・島の状態をセーブできる(そざい島のように島を出てもリセットされない)
 ・「住人めいぼ」を使ってNPCを連れてくる事が可能
 ・モンスターが出現しない
◆ けいじばん ◆
自分の島で作ったものを撮影して、タイトルやタグをつけて投稿する事ができる。
投稿したものは、他のプレイヤーが投稿したものも含めてけいじばんで見る事が可能。
定期的にコンテストが催されていて、お題に沿った写真をタグをつけて投稿。他のプレイヤーに投票してもらってランキング上位を目指す事も。
グラフィック
◆ 積載段数・アイテム数が大幅に増加 ◆
前作(31段)と比べて積み上げられるブロック数が大幅に増えている(地下も含め100段)。
これにより、より高低差のある建築が可能となっている。

作れるアイテム数も大幅に増えており、1スタックは最大999個まで収納可能。
前作登場したアイテムの一部はビルダーハートと交換で作成が可能になる。

収納箱も種類が増え、収納箱以外にもタンスやプレゼントボックスに収納が可能(収納上限あり)。
前作の「大倉庫(設置しておけばいつでも出し入れが可能な大容量の収納箱)」に相当するアイテムが「ふくろ」に置き換わり、バージョンアップで最大420スタックまで収納が可能になっている。

数字だけ見るとかなりの容量を収納可能になっているが…。
作業台「パーツふるい」や、ビルダーハンマーの使用により、アイテムの種類がさらに増えており、加えて「染色がま」「染料ダル」によりカラーバリエーションも増えている為、収納箱がいくらあっても足りないという事はまま起こりうる。
そこに関しては、アイテム収集は計画的に、というしかない。
一応、収納箱の収納上限は島ごとに決まっているので、かいたく島などに専用の収納スペースを設けておくのもありかもしれない。
音楽
◆ DQ2〜DQ7の曲で構成 ◆
世界観になっているDQ2の曲はあるものの、DQ5〜DQ7の曲もまんべんなく使われている。
何故DQ5〜DQ7も?という気もするが、前作はDQ1〜DQ4の曲が中心だったので、曲の選択の幅を広げる必要はあったのかもしれない。
ラスボス戦の曲の流れはストーリーと相まって良いものだと思う。
また、楽譜と楽器があれば、指定した楽譜の曲を任意に流す事ができる。
総評
◆ ストーリーがチュートリアル ◆
シナリオ上NPC達が自発的に建築を始めてしまう事、開拓レシピの事もあって、からっぽ島で最初から自由な建築を行おうと考えるとやきもきするかもしれない。
そこらへんも併せてチュートリアルだと考えて遊べれる人向き。
もちろん、主人公と少年シドーの交流と成長も良いものなので、建築をそこそこにストーリーを楽しんでも良い。
◆ 建築の幅は大きく広がっている ◆
高低差のある建造が可能で、設計図を使えばNPCに建築も手伝ってもらえる。
ブロックの種類、カラーバリエーション、カッターによる形状の修正も増え、前作以上に建築の幅が広がっている。