ゲームレビュー
◆◆◆ 聖剣伝説2 シークレット オブ マナ ◆◆◆
プレイ状況:クリア
シナリオ
◆ 聖剣を抜いた事で始まる冒険 ◆
村の側にある、誰にも抜いた事のない1本の錆びた剣から始まる冒険。
聞こえは良いが、住んでいた村を追われ、いきなり世界を救う使命を背負わされ、うっかりゴブリンのエサにされそうになったり、女の子の人探しに付き合わされたりと、一介の気弱な少年に冒頭から様々な厄介事が降りかかる。
最初は弱音を吐くランディも、プリムやポポイが仲間として加わるとそういう発言も少なくなっていくあたり、勇者としての成長を垣間見れる事も。
◆ ヴァンドール側の目的 ◆
マナの要塞を手に入れ世界征服を、というのが目的ではあるが、要塞起動=マナ枯渇=神獣暴走は御伽噺として知られており、マナの剣でしか傷つけられない神獣の対抗策を練っていたかは分かっていない。
また、動力源であるマナが枯渇すれば当然要塞は動かなくなるので、世界破滅の為に要塞を起動させる意味があったのかは不明。
タナトスがとある場所の破壊もしている為、魔界側の思惑が絡んでいる可能性はあるが、作中で明かされる事はない。
◆ 幕間エピソード ◆
宿屋に泊まると見れるトークイベントの事。シナリオの進行に応じて見れるエピソードが増える。
古いものから順番に発生するが、あまり宿屋に泊まっていないといつまでも古いエピソードが残ったままになる。ラスボス直前なのに大砲屋の怖い話をしだす…なんて事も。
宿代自体は安いので、エピソードを消化するまではシナリオを進まずに宿屋に通いつめるのもありかも。
プリムから聞けるディラックの惚気話とか、ポポイの妖精の村での生活の話、精霊達やNPCが割り込んでくる場合もあり、キャラクターの性分を掘り下げた話題も多い。
ただ、ポポイの見世物小屋に関する幕間は、プリムが見世物小屋を見ていなくても、見ている内容になっている。
キャラクター
◆ ランディ ◆
本作の主人公。
孤児の身分とは言え、10年以上も村長に育てられていながらも、聖剣を抜いた途端に非難轟々で村を追い出されているあたり、村での素行(悪ガキとの付き合い)はあまり良くなかったのかもしれない。
幕間エピソードでは、ツッコミポジションのような立ち位置にいたりするが、2人と衝突する事は少なく、協調性があると見るべきか、自己がないと見るべきか…というところ。
ランディ的には、レジスタンスのリーダー・クリスは年上ながらも「可愛い」らしい。
公式設定ではプリムよりも身長が10cm近く高いはずなのに、画面で見ていると(髪型を含めても)プリムの方が背が高かったりする。サバを読んでるのかも?
◆ プリム ◆
良家のお嬢様…のはずだけど、グローブ(初期装備)で投げ技をかますのが今日日のお嬢様なのかと疑問に感じる女の子。
まあそもそも、最近急に出没した魔物を掻い潜ってディラックを追いかけているあたり、只者ではないのは確かな模様。幕間エピソードでも、そのお転婆ぶりが強調されている。
基本的にはディラック一筋だが、成長したランディを褒めたり、ランディが他の女の子を見て鼻の下を伸ばしていると拗ねたりするあたり、複雑な乙女心がある模様。
魔法は回復・補助・光系を覚える。回復魔法は終盤まで重宝する。
◆ ポポイ ◆
記憶喪失の妖精の子供。
名前も思い出せない為ランディから名づけてもらう事になるが、記憶を取り戻しても名乗る事はなく、唯一の家族からも名前を呼んでもらえない、ちょっと悲しいキャラ。
幕間エピソードは食べ物関連や、仲間になるきっかけのお金絡みのものも多い。見た目の割りに小難しい言葉遣いをする事も。
魔法は攻撃魔法系をメインに覚える。
★ ジェマ ★
共和国の騎士で、ランディに行動の指針を与えてくれる人物。
マンティスアントに襲われても助けてくれず、パンドーラではタナトスの術中にはまり、タスマニカではダークストーカーにしてやられるなど、いいところがあんまり見られない。
幕間エピソードでもプリム達に実力を疑問視されていたりしている。
まあ、色んな人と交流を持っていて、博識ではあるから頭脳派なんだと思う事にしておきたい。
★ ルサ・ルカ ★
水の神殿でマナの種子を守る巫女。水を通じて世界中の物事を知る事ができる。
遠くにいる特定の相手へ言葉を伝える事もできるが、終盤捕らわれの身になった時はこれと言ったメッセージがないあたり、有効距離がある様子。
序盤のうちはジェマ同様、ランディ達に指針を与えてあちこち歩き回らせてくれる。

★ ヴァンドール&四天王 ★
ヴァンドール帝国の皇帝と、その四天王。マナの要塞を手に入れる為にマナの種子を狙っている。
★ヴァンドール★
威厳たっぷりに出てきて何だか強そうな雰囲気をしていたにも関わらず、大した出番もなく退場してしまった皇帝様。
魔界との契約をしていたらしいが、それが結局どんな契約だったのか明かされる事はなかった。
★タナトス★
リーダー格かと思いきや一介の軍師だったらしい人。
軍師と呼ばれている割にはヴァンドールと一緒にいる事がなく、ディラックを誘拐したり女の子を生贄にしたりと何やら好き勝手している様子。
自分の計画を話したいあまり、うっかり死にそうになったりと、しっかりしてそうで意外とドジなのかもしれない。
★シーク★
本当のリーダー格だった人。
ただ、タスマニカに単身潜入して王を暗殺しようとしたり、軍師と紅一点を差し置いてランディ達に戦闘をけしかけたりと、リーダーというよりは鉄砲玉みたいなポジションに納まっている。
おまけにその本性がダークストーカーだったりメガゾーンだったりと微妙な見た目で、結局色々と影が薄い。
公式の紹介順からして四天王の中で2番目なので、色々お察しな立場なのかもしれない。
★ゲシュタール★
四天王の中では多分一番目立っていた人。
水の神殿で初お目見えして、カッカラ砂漠、皇帝城、マナの神殿で魔法機械生物に改造されてと、3回も戦闘している。
マシンライダーとなって広いマップを縦横無人で走り回り、3回目に至ってはカウンタマジックで攻撃魔法を封じてくるので、戦闘面では一番厄介だったかもしれない。
★ファウナッハ★
紅一点という事で印象は強かったが、実際は一回しか戦闘をしていない人。
同僚が倒された事でランディ達に敵意を向けていたものの、呼び捨てのシークとゲシュタールに対して、タナトスには様付けをしていたあたり、彼女の中での上下関係は四天王の序列とは関係がないらしい。
今際の際にタナトスに疑問を投げかけていたけど、あれはなんだったんだろう?タナトスから何か吹き込まれていたんだろうか。
女騎士にも関わらず公式絵では魔女のような雰囲気を持っているあたり、イラストレーターの試行錯誤を感じるキャラクター。
システム
◆ ボタンの仕様 ◆
初期のボタンの仕様では、「会話・攻撃→×」となっており、「キャンセル→×」と被っている。
会話を×で進めて、選択肢が出た時に続けて×を押すとキャンセル扱いになってしまうので、慣れていないと混乱してしまうかもしれない。
オプションで変更が出来るので、「会話・攻撃」を他のボタンにしておくといいかも。
◆ 戦闘 ◆
準拠しているのか引用しているのか、挙動が原作に近い。
★チャージ攻撃が弱い★
攻撃するとキャラクターのゲージが0%に戻り、時間経過で100%まで上昇する。
0%の時に攻撃する事も出来るがダメージは低い。
また、攻撃ボタンを押しっぱなしにすると100%後にチャージを始め、攻撃ボタンを離した時にチャージLvに合わせて強い攻撃が出来る。
が、このチャージ攻撃の火力がゲージを貯める時間に見合っておらず、「チャージ中に敵から攻撃を受けると0%に戻る」、「チャージ中は動きが遅い」、なども合わさって使い勝手が悪い。
一応、敵がいない間にチャージを貯める→敵が出てきたら攻撃、という事はできる。
もっとも、終盤になれば100%攻撃でも3ケタはダメージが出るし、最大ダメージは999、敵のHPも4桁がせいぜいなので、チャージ攻撃が必要かどうかと言われると悩ましいところだが…。

★攻撃してからダメージまでのタイムラグ★
攻撃してから吹っ飛び+ダメージ表示までにタイムラグがある。
袋叩きにしていても攻撃した回数分ダメージが与えられている訳ではないようなので、ダメージ表記が出て吹っ飛んだら再度攻撃する、というスタイルで攻撃すると、あまり攻撃を受けずに敵を倒せる事も多い。
また、敵から攻撃を受ける場合もタイムラグがあるので、立て続けに攻撃を受ける→数秒おきにダメージを受けて都度吹っ飛ぶ→HPが0になる、なんて事も。
あまり利点が無いように見えるが、HP0から死神が憑く間もタイムラグがあるらしく、HP0になった直後に回復魔法&アイテム使用する事で、死神が憑く前にHPが回復するケースもある。

★見えない所からも攻撃が飛んでくる★
魔法の殆どはキャラクターを指定して攻撃してくるので、画面外に敵が消えても魔法だけ飛んでくる事も多い。
画面端に消えた敵からバルーンで足止めされて、他の敵から袋叩きというのは良くある事。
味方の魔法も同じ動作だが、最序盤は魔法が使えない為、一番危険なのは対抗策がない最序盤だったりする。
★攻撃MISSが多い・ダメージ差が大きい★
攻撃をしてもMISSする事が多い。
2回に1回はMISS表記とかはザラ。チャージ攻撃も普通にMISSする。
また、弱点を突かないとダメージを与えられない敵も多く、仮に弱点魔法を使っても熟練度が低いと1しかダメージが通らない事も。

★操作キャラ以外のキャラの行動が不安定★
操作キャラ以外のキャラは、自動で敵を攻撃してくれるが、何もいないはずの場所をひたすら攻撃し続ける、という事が多々見受けられる。
その場を離れない限り、他から敵が出てきても攻撃してしまうのがなかなか厄介。
★魔法しか効かない敵も多い★
序盤は魔法が使えないにも関わらず、この魔法でないと倒せない敵が序盤からごろごろ出てくる。
魔法が使えない時点では逃げるしかない。
★アイテム最大所持数が少ない★
初期の段階でアイテムの最大所持数が4つまでとなっていて、魔法が使えない時期の難易度の高さに拍車をかけている。
オプションで12まで変更する事ができるので、難しいと感じたらオプションで変更してアイテムを増やしてから戦うのもあり。
★魔法・アイテムのショートカット機能(Ver.1.01)★
R1とL1に魔法やアイテムをショートカット機能がついている。
リングコマンドで魔法やアイテムを探して〜という手間を省くもので、利用頻度の高い回復魔法などをセットしておくと、いちいちリングコマンド開く必要がなくて便利。
欲を言えば、R2・L2にもセットできるようにしてもらいたいところ。

◆ 移動 ◆
フィールド内を3人で歩き回る事になるのだが、障害物などで操作キャラ以外の誰かが足止めをされてしまい戻ってこない事も多い。
一応、「ムチ等で強制的に移動する」「次のマップへ移動」「操作キャラのリングコマンドを開いて閉じる」などで、はぐれたキャラも操作キャラの側に戻ってくる事はできるが、なんかもう少し上手く戻ってくる方法がないのかと思わないでもない。
◆ バグ等 ◆
★強制終了★
画面切り替え時の強制終了が多く、熟練度上げ、敵のドロップアイテム目当てで画面移動を繰り返していると高確率で引っかかる。
現時点で対処方法がないので、セーブかオートセーブかでやり直す他ない。オートセーブはON推奨。

◆ 追加要素 ◆
★シリーズものの小物色々★
宿屋な民家に、聖剣伝説シリーズに登場してきたキャラの、イラストやぬいぐるみなどの小物が飾られている事がある。
LoMの主人公達やRoMの魔ペットなど、種類自体は多くないが、探してみてもよいかもしれない。
★ゲーム内アバター★
e-STOREや攻略ガイドについてくるシリアルコードを使う事でアバターを購入して、キャラクター達に設定する事ができる。シナリオ中も設定したアバターで進行可能。
★図鑑★
キャラクターや魔物の図鑑。キャラクターに会ったり、魔物を倒したりすると追加される模様。
図鑑と言っても画像が表示されるのみでプロフィールや弱点などが書いてある訳ではない。観賞用。
グラフィック&ムービー
◆ キャラクター ◆
キャラクター自体はもともとの世界観に合わせた可愛らしい姿をしているが、主人公達にしても表情差分が少なく、サブキャラクターに至っては1種類しかない。
会話に合わせて口が動くとか、そういったものもない。
◆ フィールド ◆
★画質★
SFC版のマップを基準に画像が差し替えてあり、画面自体は綺麗になっている。
右上にはSFC版のマップがサブマップとして表示。
場所によってはサブマップが表示されないところもある。オプションで消す事は可能。
★ロード時間★
マップ移動の際に若干のロードが入る為、SFC版と比べるとさくさく進めるとは言いがたい。
マナの要塞に関しては1部屋ごとにマップが分割されており、都度ロードが発生するので悩ましい。

★ワールドマップ★
フラミーに乗れるようになると、ワールドマップを自由に飛び回り、上空から町やダンジョンに入れる。
どういう訳か、SFC版にあった大砲屋使用時のワールドマップの画面(始点から終点へ飛んで行くムービー)がなくなってしまい、大砲で飛ばされるとすぐ飛ばされたマップに到着しているのが残念。

◆ ボイス ◆
メインキャラクターはもちろん、町のNPCも含めて全てのキャラクターにボイスがついている。
同じセリフを言う別のキャラクターでも、各々声が違うという徹底振り。
一方で、ボス撃破後の「やったー」の台詞はボイスがなかったり、よろず屋はトド村のトドですら同じボイスだったりと、微妙に詰めの甘いところも。
全体的に台詞の棒読みが気になるが、原作が文語体なので、これは仕方がないのかもしれない。
◆ ムービー ◆
シナリオの要所でムービー…というよりはクローズアップされる部分がある。
あくまでクローズアップなので追加要素的なものはなく、某所の破壊イベントも「画面が真っ白になって、目を覚ましたら破壊されていた」と味気の無いものに。
数自体も少なく、PS4のスペックを考えればトークイベント全てをムービーにしてもよかった所。
音楽
◆ 前奏が長いものが多い ◆
リメイクにあたり書き起こされたものがそれなりにあるが、元の曲に前奏が追加された曲が目立つ。
この前奏がそこそこ長く、音量も控えめなので、フィールドがさほど広くはないこのゲームでは、BGMを大して聞かずにフィールド移動してしまう事も多いかもしれない。
曲自体は良い物が多いので、長丁場のダンジョンでは曲を堪能できる。ゲームで聞くよりはサントラで聴きたい類の曲。
ただ、「愛に時間を(マナの要塞内部)」のリメイク版はちょっと苦手というか…タナトス関連のテーマとのごった煮になっている感じで、もともとの曲の良さを潰している。

また、リメイクとオリジナル版はオプションでいつでも変更可能なので、色々な場面で曲を聴き比べるのも面白い。
総評
◆ PS4のスペックに見合っていない ◆
昨今PS4で発売されたゲームにしては高画質とは呼べず、システムもSFCのまま。
一見、あまりメモリを使っていない印象を受けるものの、キャラクターの挙動が不安定になる時もままあり、一体何がこのゲームに負荷をかけているのかよく分からないところも。
◆ バージョンアップ ◆
発売日にいきなりバージョンアップされるという珍妙な事になっている。
2018/2/15に、「魔法および武器のショートカットキー登録機能」が追加。
2018/3/5に、一部不具合の改善と、「リングコマンドのキャラクターアイコンの表示」や「アイテム効果の表示」などが追加。
ただ、現時点においても画面切り替え時の強制終了等は発生しており、改善されていない。
◆ 原作に寄り過ぎたリメイク ◆
戦闘を始めとしたあらゆるシステムについて、あまりに原作に沿いすぎており「ちょっと遊びにくいけどSFCならこんなもんか」と妥協していた部分が実は仕様でしたと言われているようである。
プレイ時間も、10時間もあれば充分クリアできてしまう量であり、追加要素もシナリオに厚みを持たせるようなものではない。
おまけの上記以外にもバグが頻発しており、ゲームを遊ぶのも難儀するような代物になってしまった。

「25年前のゲームを検品せずに15年前に流行ったパッケージで包んで出荷した」イメージに近い。
リメイクという表現自体間違ってはいないが、「PS4だから、きっと高画質で良システムで濃いシナリオで追加要素もりもりの凄いリメイクのはず」という淡い期待を打ち砕くゲーム。
今後のスクエニのゲームリメイクに関する創造力を不安視させるゲーム、と呼べるかもしれない。