ゲームレビュー
◆◆◆ アンリミテッド:サガ  ◆◆◆
プレイ状況:7人目クリア
はじめに
◆ システムが難解な為、解体真書がほぼ必須 ◆
「HPとLPの仕組みが不明瞭」「アビリティの効果が明示されない」「リールが狙った目を当てられない」など、親切心の塊のようなゲームが多い昨今にしては、珍しくプレイヤーを突き放した仕様になっている。
耐久度が0になって、アビリティが使用できずに混乱したプレイヤーも多いだろうか。よしんばラスボスまでたどり着けたとしても、その凶悪な攻撃の数々に撃沈する事も多い。
解体真書は、「別売り取扱説明書」と揶揄されるほど、事細かくシステムが記された攻略本で、これがあるとないで難易度が大きく変化するといっても過言ではない。
また、ストーリー上の伏線について解説もされている為、ストーリーの理解を深める意味でも必須と言える。
キャラクター
解体真書の小説をなぞる形で、イスカンダール編も欲しかったなーと思わないでもない。ルビィ編とかぶっちゃうけどね。
◆ ジュディ ◆
ジュディ編は、話が比較的短く、仲間もバランス良く加入するので、戦闘で不便する機会はあんまりない。メインシナリオをこなすだけでも、ラスボスの所までは何とか行ける程。
ただ、キャッシュ編で大活躍のジョーゼフが最後の最後で参入するのであまり役に立たないのが少しもったいない感じ。
初めてやるには打ってつけだが、あんまりさくさく進む為、十分な知識をつけずにラスボスに挑んで玉砕…という可能性は無きにしも非ず。
合成もロクにせず、サブシナリオを一切こなさずにメインシナリオだけ進めた結果、ラスボスとLP1まで削られたジュディとの一騎打ちをする羽目になり、何だかんだ撃破できたのはいい思い出…かな?
◆ キャッシュ ◆
キャッシュ編は、彼特有のイベント戦闘のおかげでばんばん技をひらめいてくれるので、序盤を切り抜ければ後半はかなり楽な旅を満喫できる。強力な仲間が多いのも特徴。
暗殺未遂事件の後、親子のやりとりが一切ないのがなんだかなぁと。首謀者の心当たりを聞くだとか、無事に避難したあとの会話だとか、そういうものが欲しかった。
エンディングはほのぼのして好き。…ってそれでいいのかキャッシュ。
全身鎧挑戦回。あまりに硬くて、キャッシュ一人旅でも十分イケるんじゃないかと思った位。しかし、前座との戦闘でプラズマシャワー食らって5人中4人麻痺ったのはさすがにヤバかった。
◆ ヴェント ◆
良くも悪くも王道な展開になっている。ナイト・オブ・ザ・ラウンドテーブルを倒した直後に登場したトゥースの台詞は、容易に想像がついたし。
運びの仕事で殆どの仲間が参入するのが若干手間だが、同時に運びでいくらでも成長が見込めるので育成で悩む事は少ない。
ティフォンのアンデッド恐怖症を、他のパネルに書き換えできればしておきたい所。
術合成Lv2が出た回。しかもよりによってヴェントに。結局活用できずに外してしまったけど、活用できたらちょっとは使える子になったんだろうか…?
◆ ローラ ◆
最序盤は、HPが低めのアンリ、LPが低めのジュディとミシェルが相次いで参入するので、戦闘は常に肝が冷える事請け合い。後に仲間になるキャラは充実してるので、後半は比較的楽になる。
エンディングでローラが「アタシの事は心配しなくても〜」と言っているあたり、アンリがエスカータ行きを誘った心情は見え見えだったんだなぁと、ちょっとにやり。
…ところで、「アタシも一人じゃないからね」って、ついそっちの事を想像したんだけど、実際どうだったんだろう。謎。
前座の攻撃モーションはカッコいいのに、移動する時ぴょんぴょん跳ねて無駄に印象深かった気が。
◆ マイス ◆
仲間になるキャラが女性ばかりでLPが低いキャラが多く、終盤で戦闘がつらくなってくる。というか、力の資質5でLP一桁ってどういう事よ?と。
初期から習得している術を持つキャラが比較的多いものの、やはり全体的に火力不足。スキルパネル「占い」持ちのサファイアがいるので、資金には困らないのが救い。
絵の量から見ても、エンディングの待遇は一番良いんじゃないかな。銀の少女とだと大恋愛になりそうな気はするけど。がんばれ。
プレイ中では、本作最弱候補のティフォンが大活躍した。恐怖症(不死)を不殺の誓約に置き換えて、短剣でがりがりLP削ってもらいました。
◆ アーミック ◆
開始直後の村が物々交換のショップしかなく、次の町の魔法屋はシナリオ上利用できない。その為最序盤が一番苦労しがち。
アイテム集めがメインなので、サブシナリオを繰り返し挑戦しクリアせずに資金稼ぎ→ショップのアイテムを買い漁る→シナリオをクリアしてショップのアイテム更新、が基本になりそう。
アイテム欄が99個の上限に圧迫感を感じた気がした。エンディングでは奥さんが可愛かった。あと子供達父ちゃんに似過ぎ。ラスボス前座とアーミックの会話に、懐の深さを感じたかも。
ヒドラ革の入手が一番難儀した。解体真書の小説でイスカンダール氏がこれとライブシルクを村長に渡した理由がよく分かる。プレイ時間はキャッシュ編より短いのに、体感的に一番時間かけた気がする。
◆ ルビィ ◆
ゲームタイトル的には一番最後に持っていく事をオススメする。解体真書見ながら、イスカンダール氏の台詞に思わずニヤリとしたり出来る。
七大脅威の攻略で仲間が増えるので、初期メンバー4人がメインになるものの、最終的には可もなく不可もない面子が集まるので、システムを理解しさえすれば難易度は高くない。
ジュディ編の次に挑戦して、システムがよく分からないままサブシナリオで詰まった苦い思い出のあるシナリオ。
アンザンを仲間にしたくて、早い段階でナクルの地上絵に行き、邪神ターグートにぼこぼこにされてえらい目にあったのもいい思い出…だといいなぁ。
システム
◆ フィールド ◆
樹海だろうがつり天井が降ってくるし、石畳だろうが異空間だろうが落とし穴に落とされる、ある意味すごい場所。ついでに自分のアジトで罠に引っかかって、逆ギレするキャラもいたりするが、これはご愛嬌。
リールは目押しがあまり利かず、宝箱の罠とか起動させちゃったりする事もしばしば。
HP回復系の術がないうちは、フィールドでの「待機」がメインになるので、やり始めの頃はこの仕様にピンと来ないかもしれない。「待機」の間に敵はどんどん寄ってくるし、ある意味リアリティのある冒険は楽しめる。
◆ 合成 ◆
アーミック編ではこれを駆使しないとまずクリアが出来ない、はず。
耐久値を上げるのがメイン。ただし、精霊銀やダマスクスへの合成とか、〜行術の付与なんかにハマっちゃう事の方が多いかも。
思ったアビリティがなかなかつかず、気がつけば耐久値いっぱいまで合成を繰り返したりしてしまうもの。もっぱらソフトリセットする一番の要因かもしれない。
◆ 戦闘 ◆
リールは目押しが利くので、慣れれば狙った技を選びやすい。技を閃く機会は全シナリオ必ずあるので、戦うにつれプレイヤー自身とキャラの成長を実感できる。
戦闘が辛くなったら、武具(2)にディフレクト付の長剣や、全身鎧、ライフ防御の付きの装備で固めれば大分楽になる…はず。
戦闘中の背景は遠近感があって美麗なんだけど、敵の背面の遠景しか見れず、戦闘終了時に一瞬だけキャラの背面の遠景が見れる程度なので、勿体無い気がしないでもない。
◆ 魔道板・術合成 ◆
いらないっちゃいらないけど、あると何かと楽しいかもしれないもの。前座戦で敵対象の術が必須なアーミック編でも、術具とファミリアだけで事足りるので、必要不可欠なものでもない。
術合成の方は、スキルパネルの入手が難しい事と、習得術がないとならないので、やりこむ人向けの仕様。
術合成で作れる術は有用な物が多いけど、本格的に活用するとなるとプレイ時間が倍くらいに伸びるんじゃないかな。

◆ 全身鎧 ◆
システム…って言ってよいものかどうか。とにかく、出来てしまう仕様の事。これを知っているかどうかで戦闘の難易度が大分変わる。
でも、一度知ったら最後、普通にプレイする事を縛りプレイに感じてしまう、そんな仕様でもある。とりあえず3つ位鎧装備しておくと、それなりな戦いを楽しめるかもしれない。
グラフィック&ムービー
◆ 紙芝居のような ◆
平面絵を何枚も合わせたような画面が終始続く。絵自体はとても綺麗で立体感はあるものの、奥行きは感じさせない。紙芝居を見ているような気持ちにすらなる。
マップの行き来はまさにすごろくのような感覚で移動する事になる。同じPS2のソフトと比較してしまうと、若干質は低く感じてしまうかもしれない。
◆ セリフ ◆
戦闘ではなかなか喋ってくれないので、無言で進行する事も多い。
また、セリフを発する条件が各キャラ共通の場合、一人が喋ると他のキャラも一気に喋り出すので、セリフが潰れてしまう事もままある。
◆ ムービー ◆
レジナ・レオーヌ祭はなかなか凝った作りになっている。主人公ごと異なる視点で祭を楽しんでおり、時に他の主人公と顔を合わせている事もあるので、探してみるのも面白い。
ローラ編でアンリが篝火に想いを馳せている間、キャッシュ編では騎士団廟で殺し合いをしてたとか、なかなか印象的。
音楽
◆ 良曲は数多く揃っている ◆
オープニングの「アンリミテッド:サガ序曲」をはじめ、数多く良曲をそろえている。サントラを買ったあとでもいいけど、「天翔ける翼」は是非ゲーム中に聞いておきたいところ。
曲の中にはシナリオ中1回しか聴けない曲も結構多く、周回プレイをしていない限り「曲は良いけどどこで流れた曲だっけ?」って事は多そうな気がする。
しかし、何故ヴェント編のメインテーマはあんなにまったり系なんだろう。何度睡魔に襲われたか分からん。
総評
◆ 凝った作りながらも色々足りない ◆
シナリオのやりとりは実にあっさりしているし、ラスボスは鬼の如く強いし、アイテムの説明は不十分だし、リールはうまく狙えないし、取扱説明書には有用な事があんまり書いてないし。
という事で、解体真書と言う名の補足本がなければ多分さじを投げていたであろうゲーム。
しかし、システムが分かってくると途端中毒性も増してくるし、進行も格段に楽になるので、根気があるなら遊んでみるといいかもしれない。