ゲームレビュー
◆◆◆ End of Eternity ◆◆◆
プレイ状況:クリア
シナリオ
◆ 序盤はシリアスとギャグが交互に展開 ◆
1つのCHAPTERの中でも、一部を除いてシリアスとギャグが合わさって進んでいく事が多い。
ギャグ路線を主人公らが、シリアス路線はロエンが担ってる事が多い為、序盤はストーリーにストレスを感じる事無く話を見ていられる。
ただ、なにぶん話が長い為、各陣営の話を交互に少しずつ見ていくと、最初の方の話が思い出せない事も結構多い。記憶力試されてるのかもしれない。
しかし、シャワーシーンとかキャラの露出とか、かなり狙いすぎな展開も多いなぁ。
◆ 終盤は頭の回転を試されてる感じも ◆
聖刻発生条件、リーンベルのクォーツの在処、サリヴァン・ロエンの心情など、深読みを要求する箇所が多い。
ストーリー自体は、主人公(というかリーンベル)の中で納得して終わりという感じだが、ロエン側やサリヴァン側ではもやっとした終わり方をしている感じも。
…次回作、あるのか?そんな風にも見えるけど…その時は、主人公はヴァシュロン達じゃないかも。
キャラクター
主人公達はさておいて、カーディナル陣営の声優さんに微妙な共通点があったり。主役級2人いる事だし、あのキャラで某アニメのアテレコしてほしいなあ。
◆ ゼファー ◆
説明されてる順番からして、多分主人公、のはず。でもヴァシュロンが出しゃばるからあんま前面に出てこない事が多い。
ツンツンしてるけど、終始ツンツンって訳でもなく、ヴァシュロンの茶化しにムキになったり、リーンベルのメイクに大爆笑したり、割と普通の少年っぽい感じ。
それにしても、リーンベルの悲鳴に駆けつけるの早すぎだよね。あと、後半のゼファーは終始キレ気味で恐い。
◆ リーンベル ◆
シャワーシーンを見られたり、変なメイクされたり、珍妙な像のモデルにされたり、どうにもこうにも不憫な役回りにされてる気がする彼女。
一方、ストーリー中の彼女はとにかく男前で、平手が飛ぶ、肘打ちを当てる、みぞおちに蹴り、フライパンで殴打と、遠慮もない。戦闘時の攻撃ボイスもとにかく凄い。
比較的HPが低いので、守ってあげたくはなるんだけど、ボイスだけ聞いてると、いらないかなーと思っちゃう今日この頃。
ガリジャーノンやロエンから面影を垣間見られたり、某所にいた頃は黒髪だったのを考えると、研究に利用された20人の子供達って、教皇のクローン?と邪推してしまう。そういう技術、何となくありそうだし。
◆ ヴァシュロン ◆
お父さん担当でニヒル担当で茶化し担当で同人用語担当。って、この世界、いかにもネット環境なさそうだけど、そっち系は流通してるのか?謎。
見てくれは渋いのに年齢が思いのほか若いし。戦闘を潜り抜けてくると精神の疲れが顔に出てくるのかも。その反動があのギャグ路線だとすると…もしかしたら一番の苦労性なのか。
インビンシブル・アクション中の行動が一番痛そうなのが彼。走って肩から転びがてら銃打ち込んで反動でジャンプしてまた走ってって、どんだけスタイリッシュなのか。肩外れるよあれじゃ。
★ ロエン ★
実質的な指導者さん。でも教皇の事を没後20年経ってなお想っていたり、非人道的っぽい事に加担してたり、酒に走ったりと色々濃い人。学者さん殴ってたけど、もしかして酒入ってた?
独白の一片一片は理解できるけど、全体的に見ると支離滅裂な所を見ると、ゼファー以上にメンタル壊れてるかもしれない。本人は否定してたけどね。
それにしても、20年経って顔変わっていないのは、キャラクターデザインの根底を揺るがすネタだよね。
★ サリヴァン ★
トライエースに置ける、声優子安氏のイメージキャラなんだろうなあ。学者で非人道で美形。でもって言葉を話せない幼女持ち。眼鏡してないのが不思議なくらい。
ただの独白なのに微妙に背徳的なキャラに映るのは、キャラの問題なのか声の問題なのか。最後にサリヴァンが出てくる辺り、開発側の愛情が伺えるところ。
しかし…戦闘手段が蹴りって凄いよね。あまりのアクティブさに戦闘動画見た時固まってしまった。
★ ペーター ★
声誰かと思いましたよ。CHAPTER5で初めて声を聞いた気がする位あまり喋ってない人。
ゼファーが普通の少年らしくなる唯一のキャラだったり、リーンベルに恋したり、若輩PMFのメンタルを支えてくれた存在…だと信じたいなぁ。
結果があんな感じになってしまってるけど、顔がギャグ仕様だったのでイマイチ感慨が湧かず。そういう意味で残念なキャラ。
★ ガリジャーノン ★
初登場時、リーンベルが凄く不憫に感じた。あれは確かに、謝らなきゃいけなくなる気がしないでもない。
彼の屋敷の中だけ、他のカーディナルと違って微妙に機械質というか。なんだかファッションショーの会場みたいな感じ。まさかあそこで服のお披露目とかしてるのかな…?
★ ジャンポーレ ★
何故か名前は一発で覚えれた人。自己紹介が独特な人は覚えやすくてありがたい。いわゆる残念なイケメンなのか。
リーンベルを「貧弱」と言ってモデルにしたガリジャーノンの作った女神像を、「ふくよか」と評した彼だけど…まぁ、あちらが左ナナメ45度の発想で、こちらが右ナナメ45度の発想の人なのかもしれない。
女神像の一件が印象に強い彼だけど、ラガーフェルド氏の逝去で暗いムードの中結婚式で盛り上げようとしたり、ペーティリアの復興に尽力したりと、もしかしたら一番カーディナルらしい事をしてる人かも。
システム
ゲームオーバー条件&装備品がグラフィックとシナリオに反映&装備によって攻撃スタイルが変化とか、PS版「エヴァーグレイス2」を彷彿とさせた。世界観が違うから、本当にぱっと見の印象だけなんだけど。
◆ 戦闘 ◆
3人のプレイヤーのうち1人でも戦闘不能になると即ゲームオーバーという、割と珍しいタイプの戦闘システム。
その代わりダメージの種類が、ダイレクト(確定済)ダメージとスクラッチ(未確定)ダメージがあって、なかなか戦闘不能にはならない。そんな理由で、このゲームに戦闘不能解除アイテムはない。
I.S.ゲージが戦闘のキモ。デンジャー状態になると、被ダメージが全てダイレクトダメージになるし、インビンシブル・アクションは出来ないし、動きがヘタレっぽくなるし、とにかくエラい目に遭います。
操作はかなり簡単な仕様だけど、I.S.ゲージを維持したままダイレクトダメージとスクラッチダメージを使い分けて行く必要がある為、ボタン連打でさくさく進める戦闘システムではない。
ハマると爽快感が味わえるけれど、雑魚をさくさく片付けたい時にはストレスを感じる。
◆ カスタマイズ ◆
銃っぽく見せる事を考えず、とりあえず埋めれるマスにパーツを色々埋め込んでいくとかなり強くなる。どう見てもあれじゃ弾撃てそうにないんだけどね。
パーツを合成するためのアイテムはほぼ敵が持っている為、素材集めにあちこちに奔走する事も少なくない。
◆ アクセサリー ◆
普通のRPGで攻撃補助・防御に相当する装備品。序盤は無くても困らないが、後半になるとありがたみがかなり出てくる。
状態異常を与える敵の多くは連続で攻撃してくる為、状態異常発生率『軽減』の装備は、アテにできない事が多い。持つなら、属性攻撃軽減の方で。
◆ エナジー・ヘキサ ◆
バーゼルの機能を活性化させるアイテムで、機能が低下している場所はヘキサを充てないと通行できない。
…と最初は言うのだが、中盤〜後半以降はどこもかしこもヘキサを使わないと通行できない為、町の人たち大丈夫?と突っ込みたくなる機能。
カーディナルの面々の居住地なんてあらかた塞がってるしね。マップ上を通行できないとなると、皆どうやって行き来してるんだろう?
グラフィック&ムービー
◆ オープニング ◆
タイトル直前と、タイトル直後、スタート直後にムービーあり。画像は言うまでもなく美麗です。
ただ、これらのムービーが序盤に直接結びついている訳ではないので、最初のうちは「あのムービーはなんだったんだろ?」って感じてしまうかもしれない。

◆ キャラクター ◆
トライエース作品の中では、「ヴァルキリープロファイル2」に雰囲気が近い。装備品がシナリオ上でも反映されるのがいい感じ。
でも、あんまりお茶らけた服にすると、シリアスなイベントも色々台無しになる感じがしないでもない。
音楽
未来で荒廃してて銃と機械の社会で、となると、似たような曲調になるのかもしれない。どっかで聴いた事があるような、他ゲームの曲によく似てるとか、そう感じる事が結構多い。
もちろん、トライエースならではの雰囲気も併せ持ってるんだけど。
総評
◆ バグっていうか ◆
レゾナンス・アタック中、ヴァシュロンが打ち上げる為地面に倒れこんで打ち込んだ直後、別キャラに切り替わると、たまに画面の端で倒れこんだ体勢のまま180度回転するヴァシュロンがお目にかかれる。
バグという事のほどではないけど、あんまりに不自然すぎてこれどうなのよ?と。せっかく美麗な戦闘シーンなんだから、もうちょっと不自然さが解消できればなお良かった。
それ以外は特に問題なく。SEGAではバグ取りは慎重に行われたのかな?フリーズも不具合も特に確認されていない。
◆ 攻略本は買ってないけど ◆
バーゼルのシステムへの言及は特になかったらしい。SEGA側の意向なのか、SO4失敗の教訓か、そこは良いと思う。
その分、シナリオをもう少しまとまりを持たせられなかったのかな?と思わないでもない。
エンディングは思わず「ええええ(◎△◎)」って思ってしまうほど腑に落ちない箇所が多い。ラスボス撃破後のゼファーの言葉を見る限り、開発側もそう思ってるのかもしれない。
なまじ、序盤の展開がいい感じなので、最後がしまりがないというか。
…次回作を期待していいんですよね?
考察(ネタバレ注意)
シナリオ上はもちろんの事、戦闘中のセリフにもさりげなく伏線が張られている事が多く、複数回周回してると不明瞭な所が分かってくるようになる。
…シナリオ考えた人、実は凄いんじゃなかろうか?Wikipediaに推論まで展開してるケースは初めて見た気がする。
「◆」はストーリー上からの考察、「★」は現実の情報を基にした仮説を含みます。
◆ 聖刻発生条件 ◆
開発陣によると「善悪を問わず、己の信念に基づいて行動した結果死に瀕した人間を死なせない」との事。
ただ、決死の覚悟で挑んできたはずのラガーフェルドに聖刻が発生しなかったあたり、イマイチ発生条件が曖昧だったりする。
ゼニスの正体を知っている者(ロエン・レベッカ)か、神の存在を否定したり無視したりしている者(ヴァシュロン達)に発動している辺り、神に対する姿勢も関係しているかもしれない。
◆ リーンベルのクォーツの在処 ◆
CHAPTER6のリーンベルの回想で、サリヴァンと会話している人物が、実験体20号(リーンベル)に何かを施しているシーンがある。
また、ゲルシー戦でのリーンベルのセリフに「お医者のおじいちゃん」という人物の存在が挙げられていて、先生と呼ばれていたユリスや、面識がなかったサリヴァン以外に、エターシル関係者がいる事が示唆された。
エンディングで「お医者のおじいちゃん」の言葉をリーンベルも言っている事から、「お医者のおじいちゃん」がクォーツを隠したのではないか、と思われる。
◆ CHAPTER15のヴァシュロン達に向けたサリヴァンのセリフ ◆
サリヴァンと接触した際、「予想していた客人とは違うが〜」と言っている為、ヴァシュロン達が来る事は予想していなかった。
また、ユリスから「(リーンベルのクォーツを)すり替えたのはサリヴァンしかいない」と言われない限り、ヴァシュロン達がサリヴァンに接触する理由もない為、それを理解した上でハッタリをかけたと思われる。
ロエンが割って入らなければ、ヴァシュロン達に自分を守らせてつつ、外界へ出る算段位は立ててたのかもしれない。
◆ レベッカが砕いたクォーツは誰のものか ◆
CHAPTER14〜15にかけてサリヴァンが自分の邸宅いる事から、レベッカと合流する前に誰かの来訪を待っていた節があり、且つ万が一合流できない状況に陥った時砕いておく必要のあるクォーツ、という事になる。
また話の流れが、レベッカがクォーツを砕く→エンディング(ガリジャーノン・アントリオン・ユリス・ロエン・サリヴァン・ヴァシュロン達登場)となっているので、一見エンディングに登場する面子のクォーツではないようにも見える。
ただ、もし「クォーツの破壊と人間の死がリンクしている」事が「クォーツがバーゼル内にある事」を前提にした場合、レベッカによってバーゼル外にクォーツを逃がした為に死が回避された可能性はある。
となると…やはり可能性が高いのはサリヴァンかな。

★ バーゼル・ゼニス・クォーツ・バーゼルの住人の関係 ★
多分、バーゼル全体をヒトの体に、人間を細胞に見立てていると思われる。
ゼニスは脳…のようなイメージだけど、細胞の制御に脳はあまり関係がない為、細胞の制御機構、みたいなものかもしれない。
細胞には、あらかじめ分裂の限界が決まっており、限界に達し癌化が起こる前に細胞老化やプログラム細胞死で細胞が死んでいく。サリヴァンが「ゼニスに管理された我々に癌化は起こりえない」と話すのはこの為。
クォーツは細胞老化やプログラム細胞死を促す為のスイッチ…と考えるのが妥当かな。サリヴァンの「クォーツを砕く事は一瞬の老化」という言葉にも合致している。
★ ゼニスの騎士 ★
ヒトの体は、病原体が体内に侵入すると、先天性免疫系と後天性免疫系という特別な細胞でそれを感知・排除する。
PMF=免疫系、と位置づけるのは難しいが、少なくともヴァシュロンと対峙したレベッカに働いた力はこれら免疫系の働きだったと思われる。
★ 癌化と人の不死化 ★
ヒトの細胞は、分裂と増殖で増え、プログラム細胞死で減る事で、常に一定量の細胞数を維持している。
DNAの切断が生じると、細胞周期を停止させ染色体の修復を行い、修復出来ない場合は細胞老化やプログラム細胞死によって細胞を排除する。
しかし、いずれの機構からも逃れた細胞は癌化してしまい、不必要な細胞分裂や増殖が行われたり、死滅しなければならない細胞が死滅しなくなる。
クォーツが細胞老化やプログラム細胞死を促す為のスイッチなら、スイッチの効果が及ばない所で破壊してしまう事で、不死化(=癌化)も可能になるかもしれない。